データが語る真実
来週、登壇予定のセミナーの資料を作成中に、さまざまなデータをあたっていたら、ちょっと面白いというか、世間一般には大いに誤解されていると思われる真実に、出くわした。
それは下の建設投資のデータ。黄色が民間投資、紫が政府投資(公共投資)。
これを見ると、直近では、民間28兆弱+公共20兆=計48兆。バブル期や阪神淡路大震災後の復興需要期の80兆円レベルの半分近くまで減っていて、なんと30~35年前の1980年代前半と「名目」で同じ額しか投資されていないことにビックリした。80年代前半ってどんな時代だったろうか。最近テレビで、桐谷美玲とネコが1980年のディスコにタイムスリップする某携帯キャリアのCMをよく目にするが、右肩上がりのイケイケの時代だったことは伝わってくる。当時の大卒初任給を調べたら13万円くらい。現在は約20万円なので、大卒初任給が等価だとすれば、今の1万円は、1980年代前半の1万円より、価値が3分の2くらいに下がっていることになる。それで1980年代と絶対額で同レベルしか、建設投資をしていないのだから、実質的に1980年代の3分の2しか投資していないことだ。公共投資は無駄が多すぎる、と今でも思っている人は多いだろうけど、政府投資は30年前の実質3分の2まで減らされているのが真実なのだ。そういえば、民主党政権時代に「コンクリートから人へ」のスローガンで公共投資を減らしたとき、予算削減で人手をかけられなくなった高速道路会社が打設メンテをやめて目視チェックで済ませた結果、劣化を見逃し、天井崩落で人が死ぬ大惨事になった中央道小仏トンネル事故を思い出した。現実問題、人は鉄とコンクリートからできたインフラのうえで生きているのだから、コンクリートを軽んじると命にかかわる。公共投資はすでに削減しすぎなんじゃなかろうか。竣工から数十年たった劣化しているトンネルや橋や道路は、ほかにもたくさんありそうだし。いまだに公共投資減らせーとか言ってる人は、自宅の前の道路がガタガタになって陥没しそうでも文句言っちゃあいけないね。
0コメント