日銀会合、FOMCを通過して・・・
今朝のFOMCの発表で9月追加利上げは見送られた。各種報道によれば12月利上げは濃厚とのトーンだが、ひとつ気になったのはFRBが2017年、2018年の金利見通しを下方修正したこと。足元の金利を上げる環境は整ってきているとしながらも、1~2年先については低く見積もったのはなぜだろう。足元の話は国内指標で語られたが、少し先の話では別の影響要因を想定しているのか?よくわかりません。
一方、日銀の新たな金融政策も、報道が言うように本当に緩和の「強化」になるのかピンとこない。「長期金利を0%付近に誘導する」金利ターゲットの採用については、長期金利がマイナス下にある現時点からは利上げになるから金融緩和でなく引き締めにあたる。長期金利がマイナス=10年国債価格が額面より上昇したら、日銀が買い取ってくれなくなるということ。そうなると金融機関は10年国債を買いにくくなり預金を運用しづらくなると思うのだが、これを「銀行の預金運用がやりやすくなる」としている。おそらく金利が上がることによって利ザヤをかせぎやすくなる、という意味だろうが、それは資金需要が十分にあればという前提。もともと企業などの資金需要が細っているからマイナス金利下でも金融機関は国債で預金を運用せざるをえない状況だったわけで、因果が逆転した解釈に思える。今後の金融機関は、融資が伸びないなか長期の国債も買いにくくなり、ジャブジャブになっている預金を何で運用するのか?短期国債?為替リスクのある米国債?
また、長期金利が0%を下回りそうになったら日銀は国債を売却して金利を上げにかかるわけだから、これまで市場の国債を買い取ることでマネタリーベースを増やしてきた手法がとりにくくなるはずだ。ということは年80兆円というマネタリーベース増加が本当に継続できるのか疑問が出てくる。短期債やETFの買取を増やすのか? 結果的に80兆円発行できなければ前年からは相対的に「金融引き締め」になってしまうが、それで日本経済にマイナス影響がでないのか? そのあたりの疑問が残る政策発表だった。これで経済が好転するのか今後も各種指標を注視していくしかない。
フラット35などの長期固定型住宅ローンの金利は、指標となる長期金利が0%付近に誘導されるのだから、今後、月々の動きはほとんどなくなるだろう。昨今の長期金利とフラット35金利の関係性でいえば、1.1%前後程度に落ち着くんじゃないだろうか。2%のインフレ率を達成するまで金融緩和を続けるという、なかばエンドレスな政策となったので、住宅購入検討者にとっては、「金利が低いうちに」と慌てる理由がひとつなくなったといえるだろう。
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